Japanische Klassiker mit Furigana
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こじじゅんれい
古寺巡礼
和辻 哲郎
Lesen Sie 古寺巡礼 (こじじゅんれい) von 和辻 哲郎 (わつじてつろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.765 Zeichen · 285 Bildschirme
十七
単純な光線に照らされた正面の姿のみを見たのでは、まだ真にこの像を見たとはいえないと思う。あの横顔の美しさ、背部の力強さ、――背と胸とを共に見るときのあの胴体の完全さ――あの腕も腰も下肢もすべて横から見られたときにその全幅の美を露出する。特に肩から二の腕へ、肩から胸へのあの露わな肌の肉づけには、実に驚くべきものがある。この傑作の全身が横からでもうしろからでも自由にながめられないということは、まことに遺憾に堪えない。
赤い、弱々しい夕日の光が、堂の正面の格子を洩れて、廚子のなかまで忍び込んだ。その光の反射で聖観音はほのかな赤味を全身にみなぎらした。西方浄土の空想を刺戟する夕の太陽が、いかにも似つかわしい場所でわれわれに働きかけてくれたのである。われわれはこの偶然に驚きながら息をつめて聖観音を見まもった。しかしやがてその光も、薄く、薄く消えてしまう。急に堂内が暗くなる。
廚子の扉はついに閉じられた。入り口で振り返って見ると、堂のなかは物悲しいほどにガランとしていた。
十七
奈良京の現状、聖観音の作者――玄弉三蔵――グプタ朝の芸術、西域人の共働――聖観音の作者――薬師寺について――神を人の姿に――S氏の話