Japanische Klassiker mit Furigana
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こじじゅんれい
古寺巡礼
和辻 哲郎
Lesen Sie 古寺巡礼 (こじじゅんれい) von 和辻 哲郎 (わつじてつろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.765 Zeichen · 285 Bildschirme
三
いかにも随筆らしくておもしろい。
水の音がしきりに聞こえている。南禅寺の境内からここの庭へはいって、つつじの間を流れて池になり、それから水車を回して邸外へ出るのである。蘭学者新宮凉庭が、長崎から帰って、ここに順正書院という塾を開いたとき、自分が先に立って弟子たちといっしょに加茂河原から石を運んで、流れや池を造ったのだという。家もその時のままである。頼山陽が死ぬ前一二年の間はしょっちゅうここへ遊びに来ていた。この部屋に山陽が寝たこともあるかも知れない。水車はそのころから自分の家で食う米をついていたらしい。――建築は普通の書院づくりではあるが、屋根の勾配や縁側の工合などは、近頃の建築に見られない大様ないい味を見せている。天保時代ですらこの方面では今よりも偉かったと思わずにはいられない。(五月十七日夜)
三
若王子の家――博物館、西域の壁画――西域の仏頭――ガンダーラ仏頭と広隆寺の弥勒
朝南禅寺の境内を抜けて、若王子のF氏の所に行った。空が美しく晴れて楓の若葉が鮮やかに輝いているなかに、まるで緑に浸ったようになって、F氏の茶がかった家が隠れていた。二階からわずかに都ホテルのあたりが見えるだけで、あとはすっかり若葉の山に取り囲まれている。