Japanische Klassiker mit Furigana
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こじじゅんれい
古寺巡礼
和辻 哲郎
Lesen Sie 古寺巡礼 (こじじゅんれい) von 和辻 哲郎 (わつじてつろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.765 Zeichen · 285 Bildschirme
当時のインド人はギリシア人のごとく快活ではなかったのであろう。肉体の美しさを心の底から讃美する人たちの気分にも、光を避けて陰を好む傾向が――真昼を恐れて夜を喜ぶ傾向があったのであろう。このことは色調からばかりでなく、壁画に描かれた多くの顔の表情からも、推測することができる。男も女も、大抵は憂欝な表情をその顔に浮かべているのである。ことに女の顔の病的な美しさは、その有力な証拠になる。キレの長い、瞳を上へつるしあげた大きい眼には、何となく物すごい、ヒステリカルな暗さが現われている。脂肪が少ないために異常に鋭くなっている顔の輪郭の線や、眼、鼻、唇などを刻み出す細かい微妙な線などには、豊かという感じがまるで欠けていると共に、妖艶な、すご味のある、奇妙な美しさがあふれている。これを健やかな、豊かな、調和そのものであるようなギリシア女の画に比べて見ると両者の相違はきわめて明瞭にわかると思う。
次に目に残っているのはインド独特の写実である。どの壁の画であったか、一丈ぐらいの、乳の大きい女の裸体像があった。顔、肩、腕、胸、腰、――どこに目をつけても、立派に写実的に描かれていない所はない。