Japanische Klassiker mit Furigana
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こじじゅんれい
古寺巡礼
和辻 哲郎
Lesen Sie 古寺巡礼 (こじじゅんれい) von 和辻 哲郎 (わつじてつろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.765 Zeichen · 285 Bildschirme
法隆寺のものでは、金堂の天蓋から取りおろしてこの室に列べられた鳳凰や天人が特に興味の深いものである。鳳凰は大きい三枚の尾羽をうしろに高くあげて、今飛びおりたばかりの姿勢を保っているが、その尾羽のはがねのように堅そうな、それでいて鳥の羽らしく柔らかそうな感じは、全く独特である。荒っぽくけずられた、体のわりに大きい足は、頭部の半ばを占めている偉大なくちばしと共に、奇妙にのんきな、それでいて力強い、かなり緊張した印象を与える。簡素で、雄勁で、警抜である。百済観音について言ったような直線と直線に近い曲線とが全体を形造っているのではあるが、同時にまた簡単な水墨画に見るような自由なリズムの感じもある。
天人は琵琶を持って静かに蓮台の上にすわっている。素朴な点は鳳凰にゆずらない。また鳳凰と同じく顔と手が特に大きい。その著しく目につく下ぶくれの顔には、無造作に鼻から続けた長い眉、ばかばかしく広い上瞼、それに釣り合うような異常に長い眼、そうして顔全体の印象をそこに集めても行きそうな大きい口、――すべてが部分的に拡大せられている。しかも誇張の感じはほとんどない。いかにも単純で素直で、何のこだわりもなく一種の情緒を――愛らしいしめやかななつかしみを、あふれ出させている。