Japanische Klassiker mit Furigana
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とうじょうのきじゅつし
塔上の奇術師/鉄人Q
江戸川 乱歩
Lesen Sie 塔上の奇術師/鉄人Q (とうじょうのきじゅつし) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 151.766 Zeichen · 303 Bildschirme
小林君は、コールタールのいっぱいはいったブリキかんを持って、自動車の下にもぐりこみ、そのかんを、車体の下にくくりつけたのです。
ブリキかんのそこに、はりで小さな穴があけてありました。そこから、コールタールが、糸のようにほそくなって、地面にたれるのです。
『五郎』が追っていく黒い線は、そのコールタールのたれたものでした。
小林君は、朝はやくやってきましたが、それでも、車がとおったり、人が歩いたりして、コールタールの線は、ところどころとぎれて、目で見たのではわからないようになっていました。しかしそんなところでも、シェパード犬の鼻は、ちゃんと、においをかぎつけることができます。ですから、どうしても『五郎』をつれてくるひつようがあったのです。
自動車で尾行しては、あいてに気づかれそうなときには、小林君は、よくこの方法をもちいました。ずっとまえの四十面相の事件のときにも、これをつかったことがあるのです。
針でついたような小さな穴ですから、大きなかんのコールタールは、なかなかなくなりません。三十分や四十分は、地面に糸をひきつづけることができます。
『五郎』は町かどを右にまがり、左にまがりして、どこまでも走っていきます。