Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠1

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠1 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.314 Zeichen · 398 Bildschirme

Aozora Bunko

「その時は勝手にしろ」

「そんなら勝手に泥棒してもいいか」

「馬鹿! どうでも今夜は切っちまうからそのつもりで来い」

主人はその晩、一包みの金を自分の膝のところへ置いて、長い刀の鞘を払い、七兵衛が来たら切らぬまでもこれで嚇しつけて、その手癖を直してやろうと、燈火の下へ右の白刃を置いて、机を持って来て夜長のつれづれに書物を読み出していましたが、なかなか七兵衛は来ない。

「やつめ、怖くなりやがったな」

と主人も微笑していましたが、やがて一番鶏が鳴きました。

ふと見れば、膝元に置いた金の包がない。

「はて」

主人はびっくりして、机の下、行燈の蔭、衣服の裾まで振って見たけれど、差置いた金包は更に見えません。

「ああ盗られた」

急いで人を起して、

「七兵衛はいないか、七兵衛はどこへ行った」

どこへ行ったやら影も形も見えないので、主人は中っ腹で、それから日のカンカンさすまで寝込んでしまうと、

「旦那様、七兵衛が見えました」

「ここへ連れて来い」

主人の寝床の前へ七兵衛は平気な面でやって来て、

「旦那様、お土産を買って来ました」

とて経木の皮に包んだ饅頭を差出しました。呆気に取られた主人が、