Japanische Klassiker mit Furigana
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たぬきじる
完本 たぬき汁
佐藤 垢石
Lesen Sie 完本 たぬき汁 (たぬきじる) von 佐藤 垢石 (さとうこうせき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 133.158 Zeichen · 273 Bildschirme
私の屋敷には、樫の木が数多くあって秋になるとそれから小団栗が落ちたからだ。狸はヒョウヒョウと鳴く。夕飯がすんで寝る頃になると、ヒョウヒョウと細い鳴き声が次第に屋敷のまわりへ近づいてくる。幼い私は、その声をきくと恐さに祖母の膝へしがみついた。そして祖母の寝物語に、カチカチ山の爺さんが狸婆さんに狸汁だと騙されて婆汁を食ったというお伽噺をきき、狸は凄い妖術を持っている獣であると、ひどく感心したものであった。
そんな次第であるから、これから後、楢の木の大団栗はもちろんのこと、樫の木の小団栗に至るまで清酒醸造の資料になってしまったなら、わが故郷の狸どもは食糧難にいかなる対策を講ずることであろう。
三
それはとにかくとして、私は祖母の懐でカチカチ山の噺をきいてからというもの、狸汁について深い興味を持ちはじめたのである。南支の広州に、三蛇会料理というのがある。これは蝮、はぶ、こぶらの三毒蛇を生きながら皮を剥ぎとり、肉をそぎ身にして細かく叩き、鼎にかけた鍋のなかへ投ずる。鍋のなかには予め羹が煮えたぎっていて、三蛇は互いに毒をもって毒を制し、その甘味、その肥爛まことにたとうべからずというのである。