Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵 (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.809 Zeichen · 369 Bildschirme
「手に持っていると、人にぶつかって壊されるから、襟くびに挿して歩け」
「おみやげですか」
「ム……」
子どもがあると見える。幾日かの旅仕事を終えてこれから帰る家に、何よりの楽しみが、その子どもの笑顔を見ることなのであろう。
岩公の襟くびで廻っている風車が心配と見え、親方は、時折それを振向いて先へ歩いて行った。
偶然にも、武蔵の行こうとする方角へ方角へと、同じ道を先へ踏んで行く。
(ははあ……)
そこで武蔵は頷くところがあった。――この男にちがいないと。
けれどまた、世間には、鍛冶屋も多いし、鎖鎌を帯びている者も少なくはないので、なお念のため、後になり先になりして、それとなく注意していると、道は、津の城下を横切って、鈴鹿の山街道へ次第にかかって行くし、断片的に耳に入る二人の会話でも、武蔵はもう疑いなしと思い、
「梅畑までお帰りか」
と、話しかけてみた。膠のない口吻で、
「あ。梅畑へ帰るが」
「ではもしや、宍戸梅軒殿ではないか」
「ふうむ……よく知っているのう。おれは梅軒だが、おめえは?」
三
鈴鹿を越えて水口から江州草津へ――この道筋は、京都に上るには当然な順路であるので、武蔵はつい先頃、通ったばかりのところであるが、年暮いっぱいに目的地へ着き、初春はそこで屠蘇も酌みたし――という気持もあって、真っ直に来たのであった。