Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵 (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.809 Zeichen · 369 Bildschirme
魚紋
一
いつまで経っても来ないお通が癪にさわる。
「どしたんだろ?」
地だんだふむように、町のほうへ少し歩き出してゆくと、すぐそこの四ツ辻に横たわっている牛車の車の輪のあいだに、チラと、お通の白い顔が見えた。
魚紋
一
「ア、いたッ」
鬼でも見つけたように城太郎はさけんで駈けだした。
牛車の蔭に、お通はしゃがみ込んでいた。
めずらしく今朝の彼女の髪や口紅には、ほのかではあるが――下手なお化粧ではあるが――匂わしいものがただよっていたし、小袖は烏丸家から戴いたという紅梅地に、白と緑の桃山刺繍が散っている初春らしい衣であった。
その白い襟や、紅梅色が、車の輪に透いて見えたので、城太郎は牛の鼻づらを摺ってそばへ飛びついて行った。
「なんだっ、こんな所に。お通さん、お通さん、なにしてんのさ」
胸を抱いてかがみ込んでいる彼女のうしろから、城太郎は、その髪やおしろいが台なしになるのもかまわず襟くびへ抱きついて、
「――何してんのさ、何してんのさ、おいら、ずいぶん待ってしまったぜ。はやくおいでよ」
「…………」
「はやくさ、お通さん」その肩を揺すぶって、
「――武蔵様も、あそこに来てるじゃないか。