Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

みやもとむさし

宮本武蔵

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵 (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.809 Zeichen · 369 Bildschirme

Aozora Bunko

十

十

のん気なのは、上の小猿だ。

潮風の空で、骨牌を見ている。それがいかにも意思があって人間をからかっているように見えるのである。

だが――突然、白い歯を剥いて、キッ、キッ、キッと啼き出すと、帆車の横木を走ったり、帆ばしらの突端へ飛びついたり、急に狼狽しはじめた。

「…………」

下では、船頭が、火縄を鼻の先にいぶして種子島の銃先を空へ向け、じっと、小猿を狙いすましていた。

「ざまを見ろ、あわてやがって――」

と、だいぶ酒の入っているらしい旦那連のうちの一人がいう。

「しっ……」

と、堺の商人が袂をひいた。それまで唖のように他所を向いていた美少年がぐっと体を起し、

「船頭」

と、こちらへ声を投げたからである。

こんどは、船頭のほうでそら耳を装っていた。火縄が、チラと関金の煙硝へ口火を点じかけた。――と、間髪を容れなかったのである。

「あっ」

ドカアンと弾音はたかく反ッぽへ走った。銃は美少年の手に引っ奪くられているのだった。船客たちは、耳を抑えて俯つ伏した。――その頭のうえを越して、ぶうんと、鉄砲は船の外なる渦潮の中へ投げ捨てられていた。

「な! なにしやがる!」