Japanische Klassiker mit Furigana
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わすれのこりのき
忘れ残りの記
吉川 英治
Lesen Sie 忘れ残りの記 (わすれのこりのき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 193.050 Zeichen · 383 Bildschirme
尾※(「骨+低のつくり」、第3水準1-94-21)骨の辺がまだズキンズキン痛かった。退院後の事など何も頭になかった。体の恢復は、ベッドの安息所から出て、再びドックの冬風や家庭の貧苦に当ることを意味するのだ。ここを出てから先の事を考えるのは、空恐ろしい気もちもあった。
「ねえ、……またドックへ勤めるのは、あんたも嫌なんでしょう、辛いんでしょう。お母さんは、こんな事のない前から、毎朝のように、おまえのお弁当を詰めるたびに思っていたの。あんな危険な勤めは、どうかして止めさせたいし、おまえも、年頃だしと思って」
「だって今、ぼくがやめたら、困るだろ、お母さんも」
「それは困るけれどさ。こんどこそ、病院を出たら、思いきって、お父さんにお云いなさい」
「なんて?」
「いつも、胸に思ってることをさ。……あんたの望みをね」
「東京へ出して勉強させて下さいって云うの」
「ええ。お母さんも、それとなく、お父さんに、おすすめしておくからね。お父さんも、こんどの事では、ひどく感じていらっしゃるから、きっと、ゆるしてくれますよ」
「けれど、ぼくが居なくなったら、お母さんだって、心細くない」