Japanische Klassiker mit Furigana
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たんていやわ
探偵夜話
岡本 綺堂
Lesen Sie 探偵夜話 (たんていやわ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 140.363 Zeichen · 277 Bildschirme
「で、いったいゆうべの事件というのはどうしたのですか。狐が大尉どのに化けて、何かいたずらでもしたのですか。」
「それはこういう訳です。」と、特務曹長は薄い口髭をひねりながら、重い口でぽつりぽつりと話し出した。「ゆうべ、いや今朝の一時頃です。あの火薬庫の草むらの中にぼんやりと灯のかげが見えたのです。あの辺は灌木やすすきが一面に生い茂っている所で、その中から灯が見えたかと思ううちに、ひとりの人間が提灯を持って火薬庫の前へ近寄って来ました。哨兵がよく見ると、それは向田大尉殿でありました。哨兵はむろん大尉殿の顔を識っています。ことに大尉殿は軍服を着て、司令部の提灯を持っているのですから、なんにも疑うところはないのであるが、軍隊の規律としてただ見逃がすわけには行かないので、哨兵は銃剣をかまえて『誰かッ』と声をかけたのです。けれども相手はなんにも返事をしない。哨兵は再び声をかけて『停まれッ』といったのですが、やはり停まらない。三度目に声をかけても、やはり黙っているので、哨兵はもう猶予するわけには行かなくなったのです。」
「でも、見す見す向田大尉殿だったのでしょう。