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Japanische Klassiker mit Furigana

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たんていやわ

探偵夜話

岡本 綺堂

Lesen Sie 探偵夜話 (たんていやわ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 140.363 Zeichen · 277 Bildschirme

Aozora Bunko

四

」と、お銀は泣きながら叫んだ。「わたしが今帰って来たときに、ここの家からぬけ出して行ったのは確かにお筆でした。」

お筆の名を聞いて、人びとも又おどろいた。

四

お筆がここから出て行く姿を、お銀がたしかに見とどけたとすれば、お筆もこの事件の関係者には相違ないが、果たして男ふたりを毒殺するほどの怖るべき兇行を敢てしたかどうかは疑問であった。さりとて男同士の心中でもあるまい。ほかに書置きもなく、手がかりとなるべき遺留品も見あたらないので、警察でもこの事件の真相をとらえるのに苦しんだ。

「お筆という女はどうしてそんなに祟るんでしょう。」と、溝口の細君はくやしそうに罵った。「ほんとうに飛んでもない悪魔にみこまれて、娘を殺されて、上林さんを殺されて、矢田さんを殺されて、しまいにはわたし達も殺されるかも知れません。」

悪魔――あるいはそうかも知れない。お筆という女は、自分のむかしの家を乗っ取られたのを怨んで、悪魔となって入り込んで来たのかも知れないと溝口医師も思った。文明開化の世の中にそんな馬鹿なことがあるものかと一方には打ち消しながらも、お筆が相変わらずここらを徘徊して、友之助と吉之助との死についても何かの関係をもっているらしいということが、何だか一種の不思議のように思われてならなかった。