Japanische Klassiker mit Furigana
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たんていやわ
探偵夜話
岡本 綺堂
Lesen Sie 探偵夜話 (たんていやわ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 140.363 Zeichen · 277 Bildschirme
「獣だな。」と、父は思った。やはり自分の想像していた通り、のら犬のたぐいが忍び込んで何かの餌をあさるのであろうと想像された。
しかし折角こうして張り番している以上、その正体を見とどけなければ何の役にも立たない。そうして、その正体をたしかに説明して聞かせなければ、女どもの不安の根を絶つことは出来ない。こう思って、父はそっと雨戸を一枚あけて、草履をはいて庭に降りた。縁の下には枯れ枝や竹切れがほうり込んであるので、父は手ごろの枝を持ち出して静かにあるき始めた。庭には夜露がもう降りているらしく、草履の音をぬすむには都合がよかった。
耳をすますと、がさがさという音は庭さきの空き地の方から低く響いてくるらしい。前にもいう通り、ここは四つ目垣を境にしてただ一面の藪のようになっているので、人の丈よりも高いすすきの葉に夜露の流れて落ちるのが暗いなかにも光ってみえる。父は四つ目垣のほとりまで忍んで来て、息をころして窺うと、あたかもその時、そこらの草むらがざわざわと高く騒いで、忽ちにきゃっという女の悲鳴がきこえた。
女の声は少しく意外であったので、父もぎょっとした。しかしもう猶予はない。