Japanische Klassiker mit Furigana
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たんていやわ
探偵夜話
岡本 綺堂
Lesen Sie 探偵夜話 (たんていやわ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 140.363 Zeichen · 277 Bildschirme
父は持っている枝をとり直して、四つ目垣をまわって空き地へ出ると、草むらはまた激しくざわざわ揺れてそよいだ。すすきや雑草をかきわけて、声のした方角へたどって行ったが、ふだんでもめったにはいったことのない草原で、しかも夜なかのことであるから、父にも確かに見当はつかない。父は泳ぐような形で、高い草のあいだをくぐって行くと、俄かに足をすべらせた。露にすべったのでもなく、草の蔓に足を取られたのでもない。そこには思いも付かない穴があったのである。はっと思う間に、父はその穴のなかに転げ落ちてしまった。
落ちると、穴の底ではまたもやきゃっという女の声がきこえた。父がころげ落ちたところには、人間が横たわっていたらしく、その胸か腹の上に父のからだが落ちたので、それに圧しつぶされかかった人間が思わず悲鳴をあげたのである。その人間が女であることは、その声を聞いただけで容易に判断されたが、一体どうしてこんなところに穴が掘ってあったのか、またそのなかにどうして女がひそんでいたのか、父にはなんにも判らなかった。
「あなた誰ですか。」と、父は意外の出来事におどろかされながら訊いた。