Japanische Klassiker mit Furigana
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たんていやわ
探偵夜話
岡本 綺堂
Lesen Sie 探偵夜話 (たんていやわ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 140.363 Zeichen · 277 Bildschirme
広い町でないといっても、一丁目から二丁目にかけて軒別に探しまわるのは容易でない。父はほとんど小半日を費して、ついに安達という家を見いだし得ないで帰った。あるいは他人の家に同居でもしているのではないかとも思われた。
この上は米屋の通知を待つのほかはなかったが、安達の奥さんは再び米屋の店にその姿をみせなかった。わたしの庭の空き地へも誰も忍んで来る様子はなかった。
それから又、半月あまりを過ぎて、九月はじめの新聞紙上に片門前の女殺しの記事があらわれた。森川権七という古道具屋の亭主がその女房のおいねを殺したというのである。権七は卅一歳で、おいねは年上の卅七であった。新聞の記事によると、おいねは旧幕臣の安達源五郎の妻で、源五郎は越後へ脱走するときに、中間の権七に供をさせて妻のおいねと娘のおむつを上総の親戚の方へ落としてやったが、源五郎戦死の噂がきこえて後、おいねと権七の主従関係はいつか夫婦関係に変わってしまった。それには親戚の者どもの反対もあったらしく、おいねは娘のおむつを置き去りにして、若い男と一緒に上総を駈落ちして、それからそれへと流れ渡った末に、去年の春頃から東京へ出て来て、片門前に小さい古道具屋をはじめたのである。