Japanische Klassiker mit Furigana
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はたもとたいくつおとこ
旗本退屈男
佐々木 味津三
Lesen Sie 旗本退屈男 (はたもとたいくつおとこ) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 240.656 Zeichen · 478 Bildschirme
しかも退屈男は腰のものに手をかけようともせずに、莞爾としながら笑っているのです。笑いつつ、そしてずいと近よると錆のある太い声で静かに言いました。
「どうじゃ、見たか」
「………※(疑問符感嘆符、1-8-77)」
「いずれも少しぎょッと致したな。遠慮は要らぬぞ。もそッと近よってとっくりみい」
「………」
「のう、どうじゃ。只の傷ではあるまい。江戸では少しばかり人にも知られた傷じゃ。これにても抜いて来るか!」
「………」
「参らばこちらもこの傷にて対手を致すぞ。のう、どうじゃ。来るか!」
すばらしい威嚇です。不気味な威嚇です。――抜くか? 来るか? かかって来るか? 無論こうなったからには、時の勢いとしても多勢を恃みながら抜きつれ立って来るだろうと思われたのに、だが結果はいささか案外でした。眼の配り、体の構え、そして退屈男のすさまじい胆力と、不気味に妖々として無言の威嚇を示している額の月の輪型が、尋常一様の疵痕でないことに気がついたとみえて、四人はじりじりとうしろに体を引きながら、互に何か目交ぜで諜し合わせていましたが、合図が通じたものか、そのとき恐れ気もなくのこのこと間に割って這入って来たのは、誰ならぬお大尽でした。