Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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にっき

日記

宮本 百合子

Lesen Sie 日記 (にっき) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.923 Zeichen · 46 Bildschirme

Aozora Bunko

五月十九日

昨夜は殆ど結婚以来始めての苦しい涙を流した。

恐しいことだ。且て、自分の裡に潜む意識されなかった感情の暴力にまけた自分は、其等の痕を洗い浄めようとして得た良人によって、又同じ失敗を繰返そうとしたのだ。結婚と云うことが、公然と、情慾の存在を黙許するが故に、其による自分は卑劣である。絶間ない努力が必要であると云う言葉は、一層自分に価値を感じさせる。結婚によって、自分の欠点を飛躍しようとした自分は却ってその中に掛声をかけて飛込んだのではあるまいか。許して呉れる良人はありがたい。が油断すると恐ろしい。自分の心には、一つの時期を通り過ぎた後の反省が来たらしい。静かに、深く。心よ、我が心よ。お前の回顧は、つねに冷あせを掻いた額を見出さなければならないのか。

私の心には、幾つ悪い鍵穴があるのか、よいことの鍵さえも、時には間違って、悪い鍵穴でねじられる。秘密を作る時、人は隠し終せると思うだろう。が心のあるものに其は出来ない。いつか白状する。それが人間のありがたさだ。

五月十九日 水

仕事のために一九一四年と一九一六年から十七年の日記を繰返して読んで見たことは、自分に十七年から二十年の今年までの間に、どれ丈自分が進歩したかと云うことを思わせずには置かない。