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Japanische Klassiker mit Furigana

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にちりん

日輪・春は馬車に乗って 他八篇

横光 利一

Lesen Sie 日輪・春は馬車に乗って 他八篇 (にちりん) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 86.787 Zeichen · 177 Bildschirme

Aozora Bunko

彼女は二つだ。

「ゆき、帰ったぞ。」

彼が音高く姪の前へどんと坐った。姪は恐(こ)わそうな顔をして一つ桟を向うへ渡った。

彼は自分の長い頭の髪が恐く見えるのだと思ったので、帽子(ぼうし)を深く冠(かぶ)って髪を隠すと前へいざり出た。

「こりゃ、さア来い。」

すると幸(ゆき)は少し周章(あわ)ててまた二つ三つ桟を向うへ渡ってから彼の方を振り向いた。

「うむ? 何んだい。」

彼が立って抱こうとすると、姪は桟を持ったまま叩かれた蝉(せみ)のように不意に泣き出した。彼はぼんやりとしてしまった。

十三

休暇中の彼の仕事は殆(ほとん)ど幸子の見張りのために費された。無論それは誰からも命令(いいつ)けられた役目ではなかった。しかしそれにもかかわらず、幸子は不思議なほど彼に懐(なつ)かなかった。彼は顔をいろいろ歪(ゆが)めて彼女を笑わせたり、やり過ぎるほど菓子をやったりしたあとで、もういいだろうと思って恐(こ)わ恐(ご)わ「御身よ御身よ。」といいながら彼女の手を握る。すると、幸子は直ぐ「ふん、ふん。」と鼻を鳴らせて手を引いた。そんな時彼は淋しい気がした。