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Japanische Klassiker mit Furigana

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にちりん

日輪・春は馬車に乗って 他八篇

横光 利一

Lesen Sie 日輪・春は馬車に乗って 他八篇 (にちりん) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 86.787 Zeichen · 177 Bildschirme

Aozora Bunko

十八

彼女は立ち上った。そうして、格子を掴むと高らかに煙に向って呼びかけた。

「ああ、大神はわれの手に触れた。われは大空に昇るであろう。地上の王よ。我れを見よ。我は爾らの上に日輪の如く輝くであろう。」

石窖の格子の隙から現れた卑弥呼の微笑の中には、最早や、卑狗も訶和郎も消えていた。そうして、彼らに代ってその微笑の中に潜んだものは、ただ怨恨を含めた惨忍な征服慾の光りであった。

十八

耶馬台の宮の若者たちは、眼を醒ますと噂に聴いた鹿の美女を見ようとして宮殿の花園へ押しよせて来た。彼らの或者は彼女に食わすがために、鹿の好む大バコや、百合根を持っていた。しかし、彼らの誰もが鹿の美女を捜し出すことが出来なくなると、やがて庭園に積まれた鹿の死体が彼らの手によって崩し出された。その時、君長反耶の命を受けた一人の使部は厳かな容姿を真直ぐに前方へ向けながら、彼らの傍を通り抜けて石窖の方へ下っていった。若者たちの幾らかは直ちに彼の後から従った。使部は石窖の前まで来るとその閂をとり脱し、欅の格子を上に開いて跪拝いた。

「王は爾を待っている。」

間もなく若者たちは、暗い石窖の中から現れた卑弥呼の姿を見ると、斉しく足を停めて首を延ばした。