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Japanische Klassiker mit Furigana

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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(一)

岡本 綺堂

Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(一) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 158.540 Zeichen · 319 Bildschirme

Aozora Bunko

それも人間の爪じゃあねえ、どうも鳥か獣の爪らしい。と云って、まさか天狗の仕業でもあるめえし、はて何か知らんとかんがえながら屋敷を出て、おめえの家の方角へぶらぶらやってくると、絵草紙屋の店先でふとおれの眼についた一枚絵がある。それは広重が描いた江戸名所で、十万坪の雪の景色だ。おめえ、知っているか」

「知りません。わっしはそんなものはきれえですから」と、庄太は苦笑いした。

「そうだろう。おれも別に好きというわけじゃあねえが、商売柄だから何にでも眼をつける。そこで、見るともなしにふと見ると、今もいう通り、その絵は十万坪の雪の景色で、雪が真っ白に降っていると、その大空に大きい鷲が羽をひろげて飛んでいるんだ。なるほど能く描いた、実に面白い図柄だと思っているうちに、また思いついたのが黒沼の屋敷の一件だ。まさかに天狗が掴んだのでもねえとすれば、娘を引っ掴んで来たのは鷲の仕業かもしれねえ。襟っ首に残っている爪の痕もそうだろう。しかしそれはほんの一時の出来心で、自分ながらあぶなっかしいと思ったから、ともかくもお前に逢ってだんだん訊いてみると、黒沼の屋敷に悪い評判はきこえず、お前もなんにも心当りがねえという。