Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(一)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(一) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 158.540 Zeichen · 319 Bildschirme
二
「どうして、そんなんじゃありません」と、源次は少しおびえたように眼を据えてささやいた。
「お化け師匠は蛇に巻き殺されたんで……」
「蛇に巻き殺された」と半七も驚かされた。
「女中のお村というのが今朝になって見つけ出したんですが、師匠は黒い蛇に頸を絞められて蚊帳のなかに死んでいたんです。不思議じゃありませんか。人の執念はおそろしいもんだと、近所の者もみんなふるえていますよ」
源次も薄気味悪そうに云った。悲惨な死を遂げた歌女代の魂が黒い蛇に乗り憑って邪慳な養母を絞め殺したのかと思われて、半七もぞっとした。お化け師匠が蛇に巻き殺された――どう考えてもそれは戦慄すべき出来事であった。
二
「まあ、なにしろ行ってみようじゃあねえか」
半七は先に立って横町へはいると、源次もなんだか落ち着かないような顔をして後から付いて来た。歌女寿の家の前にはだんだんに人立ちが多くなっていた。
「ちょうど若い師匠の一周忌ですからね」
「きっとこんなことになるだろうと思っていましたよ。恐ろしいもんですね」
どの人も恐怖に満ちたような眼をかがやかして、ひそひそと囁き合っていた。そのなかを掻き分けて、半七は源次と裏口から師匠の家へはいると、雨戸もまだすっかり明け放してないので、家のなかは薄暗かった。