Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(一)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(一) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 158.540 Zeichen · 319 Bildschirme
三
「やあ、おまえさんもお見送りですか」
「御苦労さまです」
こんな挨拶が方々で交換された。そのなかに眼の大きな、背の高い男がいて、彼はおまきの隣りの大工に声をかけた。
「やあ、御苦労。おまえの葬式は誰だ」
「長屋の猫婆さ」と、若い大工は答えた。
「猫婆……。おかしな名だな。猫婆というのは誰のこった」と、彼はまた訊いた。
猫婆の綽名の由来や、その死にぎわの様子などを詳しく聴き取って、彼は仔細らしく首をかしげていたが、やがて大工に別れを告げて一と足さきに寺の門を出た。かれは手先の湯屋熊であった。
三
「どうもその猫ばばあの死に様がちっと変じゃありませんかね」
湯屋熊の熊蔵はその晩すぐに神田の三河町へ行って、親分の半七のまえできょう聞き出して来た猫婆の一件を報告した。半七は黙って聴いていた。
「親分、どうです。変じゃありませんかね」
「むむ、ちっと変だな。だが、てめえの挙げて来るのに碌なことはねえ。この正月にもてめえの家の二階へ来る客の一件で飛んでもねえ汗をかかせられたからな。うっかり油断はできねえ。まあ、もうちっと掘くってから俺のとこへ持って来い。猫婆だって生きている人間だ。