Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(一)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(一) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 158.540 Zeichen · 319 Bildschirme
四
口では敵わない又蔵がとうとう腕ずくの勝負になったのである。それでも平助はさすがに武芸のたしなみがあるらしく、相手を土の上にねじ伏せて、雪駄をぬいで続け打ちになぐり付けた。
「河童野郎。八丁堀へでも、葛西の源兵衛堀へでも勝手に行け。おれ達は渡り奉公の人間だ。万一事が露れたところで、あとは野となれ、屋敷を追ん出ればそれで済むんだ。口惜しけりゃあどうともしろ」
着物の泥をはたいて、平助は悠々と立ち去ってしまった。なぐられて、毒突かれて、提重の色男は意気地もなく其処に倒れていた。
「大哥、ひどく器量が悪いじゃあねえか」と、半七は溝から這いあがって声をかけた。
「なにを云やあがるんだ。うぬの知ったことじゃあねえ」と、又蔵は面を膨らせて這い起きた。「ぐずぐず云やあがると今度は汝が相手だぞ」
「まあ、いいや。そんなにむきになるな」と、半七は笑った。「どうだい、縁喜直しに一杯飲もうじゃねえか。火消し屋敷で一度や二度は逢ったこともある。まんざら知らねえ顔でもねえ」
手拭をとった半七の顔を、月の光りに透かしてみて又蔵はおどろいた。
「や、三河町か」
四
あくる朝、半七は八丁堀の槇原の屋敷へゆくと、けさも杉野の用人の角右衛門が来ていた。