Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(一)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(一) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 158.540 Zeichen · 319 Bildschirme
半七捕物帳
一
一
むかしの正本風に書くと、本舞台一面の平ぶたい、正面に朱塗りの仁王門、門のなかに観音境内の遠見、よきところに銀杏の立木、すべて浅草公園仲見世の体よろしく、六区の観世物の鳴物にて幕あく。――と、上手より一人の老人、惣菜の岡田からでも出て来たらしい様子、下手よりも一人の青年出で来たり、門のまえにて双方生き逢い、たがいに挨拶すること宜しくある。
「やあ、これは……。お花見ですかい」
「別になんということもないので……、天気がいいから唯ぶらぶら出て来たんです」
「そうですか。わたくしは橋場までお寺まいりに……。毎月一遍ずつは顔を見せに行ってやらないと、土の下で婆さんが寂しがります。これでも生きているうちは随分仲がよかったんですからね。はははははは。ところで、あんたはお午飯は」
「もう済みました」
「それじゃあどうです。別に御用がなければ、これから向島の方角へぶらぶら出かけちゃあ……。わたくしは腹こなしにちっと歩こうかと思っているところなんですが……」
「結構です。お供しましょう」
ずるそうな青年は、ああ手帳を持って来ればよかったという思入れ、すぐに老人のあとに付いてゆく。