Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(一)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(一) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 158.540 Zeichen · 319 Bildschirme
それじゃあ念のために十万坪の方角へ踏み出して見ようと思い立って、わざわざお前を引っ張り出したんだ。勿論、相手は鳥のことだから何も十万坪に限ったこともねえ。王子へ出るか、大久保へ出るか、とても見当の付くわけのもんじゃねえが、なにしろ十万坪の絵から考え出したんだから、ともかくも其の方角へ行って見た上で、又なんとか分別を付けようと思って、遠い砂村までわざわざ踏み出してみると、やっぱり無駄足にはならねえで、なんの苦もなしに突き当ててしまったんだ。考えてみれば拾い物よ。そのお蝶とかいう娘が、どこかでおふくろにはぐれてしまって、うす暗い処をうろうろしていると、大きな鷲が不意に降りてきて、帯か襟っ首を引っ掴んで宙へ高く舞い上がったに相違ねえ。八郎兵衛新田から十万坪のあたりは人家は少なし、隣りは細川の下屋敷と来ているんだから、誰も見つけた物がねえ。殊にうす暗い時刻ならば猶更のことで、鳥の羽音もなんにも聞いた者はあるめえ。それからどうしたか勿論わからねえが、娘は驚いて気を失ってしまって、もう泣き声も立てなかったんだろう。鷲の奴めも引っ掴んでは見たものの、どうにもしようがねえもんだから、そこら中を飛びあるいて、しまいには掴んだものを宙からほうり出すと、それが丁度に黒沼の屋敷の上に落ちたというわけだろう。