Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(一)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(一) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 158.540 Zeichen · 319 Bildschirme
「これから何処へ行ったものだろう」
往来に立って思案しているうちに、半七はうしろから自分を追い掛けて来た人のあるのに気がついた。それは五十以上の町人風の男で、悪い生活の人ではないということは一と目にも知られた。男は半七のそばへ来て丁寧に挨拶した。
「まことに失礼でございますが、お前さんは神田の親分さんじゃあございますまいか。わたくしは芝の露月町に鉄物渡世をいたして居ります大和屋十右衛門と申す者でございますが、只今あの鳶頭の家へ少し相談があって訪ねてまいりますと、鳶頭は留守で、おかみさんを相手に何かの話をして居ります所へ、お前さんがお出でになりまして……。おかみさんに訊くと、あれは神田の親分さんだというので、好い折柄と存じまして、すぐにおあとを追ってまいりましたのですが、いかがでございましょうか。御迷惑でもちょいとそこらまで御一緒においで下さるわけには……」
「ようございます。お伴いたしましょう」
十右衛門に誘われて、半七は近所の鰻屋へはいった。小ぢんまりした南向きの二階の縁側にはもう春らしい日影がやわらかに流れ込んで、そこらにならべてある鉢植えの梅のおもしろい枝振りを、あかるい障子へ墨絵のように映していた。