Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(一)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(一) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 158.540 Zeichen · 319 Bildschirme
二
「まずこれでいい」
そう云って、長屋の平和を祝していた人達は、そのあくる朝、大工の女房の報告におどろかされた。
「隣りの猫はいつの間にか帰って来たんですよ。夜なかに啼く声が聞えましたもの」
「ほんとうかしら」
おまきの家を覗きに行って、人々は又おどろいた。猫の眷族はゆうべのうちに皆帰って来たらしく、さながら人間の無智を嘲るように家中いっぱいに啼いていた。おまきに訊いても要領を得なかった。自分もよく知らないが、なんでもゆうべの夜中にどこからか帰って来て、縁の下や台所の櫺子窓からぞろぞろと入り込んだものらしいと云った。猫は自分の家へかならず帰るという伝説があるから、今度は二度と帰られないようなところへ捨てて来ようというので、かの三人は行きがかり上、一日の商売を休んで品川のはずれや王子の果てまで再び猫をかかえ出して行った。
それから二日ばかりおまきの家に猫の声が聞えなかった。
二
神明の祭礼の夜であった。おなじ長屋に住んでいる鋳掛錠前直しの職人の女房が七歳になる女の児をつれて、神明のお宮へ参詣に行って、四ツ(午後十時)少し前に帰って来ると、その晩は月が冴えて、明るい屋根の上に露が薄白く光っていた。