Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(一)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(一) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 158.540 Zeichen · 319 Bildschirme
そうなると、家主にも不憫が出て、たってこの親子を追い払うわけにも行かなかった。
「ただ捨てて来るから、又すぐ戻って来るのだ。今度は二度と帰られないように重量をつけて海へ沈めてしまえ。こんな化け猫を生かして置くと、どんな禍いをするか知れない」
家主の発議で、猫は幾つかの空き俵に詰め込まれ、これに大きい石を縛りつけて芝浦の海へ沈められることになった。今度は長屋じゅうの男という男は総出になって、おまきの家へ二十匹の猫を受け取りに行った。重量をつけて海の底へ沈められては、さすがの猫ももう再び浮かび上がれないものとおまきも覚悟したらしく、人々にむかって嘆願した。
「今度こそは長の別れでございますから、猫に何か食べさしてやりとうございます。どうぞ少しお待ち下さい」
彼女は二十匹の猫を自分のまわりに呼びあつめた。きょうは七之助も商売を休んで家にいたので、おまきは彼に手伝わせて何か小魚を煮させた。飯と魚とを皿に盛り分けて、一匹ずつの前にならべると、猫は鼻をそろえて一度に食いはじめた。彼等は飯を食った。肉を食った。骨をしゃぶった。一匹ならば珍らしくない、しかも二十匹が一度に喉を鳴らし、牙をむき出して、めいめいの餌食を忙がしそうに啖っているありさまは、決して愉快な感じを与えるものではなかった。