Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(一)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(一) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 158.540 Zeichen · 319 Bildschirme
その蒼ざめた腮の下に黒くなめらかに光る鱗のようなものが見えたので、蚊帳の外から気味悪そうに覗いていた源次は、思わず顔をあとへ引いた。
半七は少しかがんでよく視ると、黒い蛇は余り大きくなかった。ようよう一尺ぐらいのものらしく、その尾は女の頸筋にゆるく巻きついて、その扁平い首は蒲団の上に死んだようにぐたりと垂れていた。生きているのかしらと、半七は指のさきで軽くその頭を弾いてみると、蛇はぬうと鎌首を長くあげた。それを見て少しかんがえていた半七は、ふところから鼻紙の畳んだのを出して、その頭を又軽く押えると、蛇は物に恐れるように首をすくませて、蒲団の上へおとなしく首を垂れてしまった。
蚊帳をぬけ出して来て、半七は縁先の手水鉢で手を洗って、もとの四畳半へ戻った。
「判りましたか」と、家主は待ち兼ねたように訊いた。
「さあ、まだ何とも申されませんね。いずれ御検視が見えたらば又お係りのお考えもありましょう。わたくしは一と先ずこれでお暇をいたします」
取り留めた返事を受け取らないで少し失望したらしい家主の顔をあとに残して、半七は早々にここを出ると、源次もつづいて表へ出た。