Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(一)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(一) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 158.540 Zeichen · 319 Bildschirme
大久保の屋敷の祟りもおそろしかった。質屋に奉公していたときの故朋輩が、堀の内の近所に住んでいるのを思い出して、千次郎はその足ですぐ堀の内へたずねて行った。好い加減の嘘をついて、そこに十日ほども忍んでいたが、いつまでその厄介になっているわけにも行かないので、彼は幾らかの路銀を借りてふたたび江戸へ帰って来た。それはお登久が雑司ヶ谷で半七に逢った翌る晩であった。
母に対しても、お登久に対しても、かれは正直に打ちあける勇気がないので、ここでもまた好い加減の嘘を作って、筋の悪い品物を買った為にその引き合いを受けるのが迷惑だから、当分は世間に顔を出したくないと云った。お登久は母と相談の上で、可愛い男を自分の家に隠まって置いた。その秘密は半七に看破られたばかりか、あわせて千次郎の秘密までもさらけ出されたので、お登久は急に口惜しくなった。かれは押え切れない嫉妬に眼がくらんで、今まで大事に抱えていた男を半七の前に突き出したのであった。
「それからどうしました」と、わたしは半七老人に訊いた。
「どうと云ってしようがありませんや」と、老人は笑っていた。「それが心中の片相手ならば下手人にもなりますが、女は自分ひとりで死んだんですから、男は別に構ったことはありません。