Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(一)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(一) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 158.540 Zeichen · 319 Bildschirme
と、半七は首をかしげて考えていた。「なにしろ調べに来るまでは無暗に動いちゃあならねえ。まあ差し当ってはじっとしていろ」
「そうですね」
二人は床のうえに坐って待っていると、廊下を急いで来る足音がこの座敷のまえに止まって、だしぬけに障子をがらりとあけて這い込んで来た者があった。彼は蚊帳の外から声をかけた。
「大哥。多吉の大哥。すまねえが助けてくれ」
「誰だ」と、多吉はうす暗い行燈の火で蚊帳越しに透かしてみると、それは廊下でさっき出逢った男であった。彼は二十八九で、色のあさ黒い、小じっかりとした男で、ひどくあわてたように息をはずませていた。
「わっしだ、小森の屋敷の七蔵だ。おめえにはちっと義理の悪いことがあるもんだから、さっきは知らねえ顔をして悪かった。後生だ、なんとか助けてくれ」
名乗られて、多吉もようよう思い出した。かれは下谷の小森という与力の屋敷の中間で、ふだんから余り身状のよくない、方々の屋敷の大部屋へはいりこんで博奕を打つのを商売のようにしている道楽者であった。去年の暮、あるところで彼は博奕に負けて、寒空に素っ裸にされようとするところへ、ちょうど多吉が行きあわせて、可哀そうだと思って一分二朱ばかり貸してやった。