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Japanische Klassiker mit Furigana

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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(一)

岡本 綺堂

Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(一) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 158.540 Zeichen · 319 Bildschirme

Aozora Bunko

勿論、軽く突いたのであろうが、時のはずみで針のさきが案外に深く透ったので、内でも外でもおどろいた。しかし元来が秘密の事件であるから、徳次郎は思い切って声を立てることも出来なかった。

それでも針のさきで突いたのであるから、たとい一時の痛みを感じても、それが恐ろしい大事になろうとは、本人もお此も更に思い付かなかった。なにか血止めの薬でも塗って置いて、その場はそのままに済ませたのであるが、あいにくその針のさきには人の知らない一種の悪い毒が付いていたらしく、店へ帰ってから徳次郎の傷ついた舌のさきが俄かに強く痛み出して、遂に不運な美少年を死に誘ったのであろう。これは医者の玄庵から教えられた予備知識に、半七自身の推断を加えた結論であった。その苦しみのあいだに、彼はまったく口をきくことが出来ないのでもなかったかも知れないが、そこに秘密がひそんでいるために、彼はわざと口を閉じていたのかも知れない。宿へ下がって、いよいよ最期の日が近づいたと自覚した時、兄や嫂にいろいろ問い迫られて、彼はとうとう、その秘密を洩らしたのかも知れない。お此さんに殺されたという一句は、おそらく彼のいつわりなき告白であろう。