Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(一)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(一) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 158.540 Zeichen · 319 Bildschirme
眼のさめたのは五ツ頃(午前八時)で、あさ日はうららかに窓から覗いていた。まぶしい眼をこすりながら、枕もとの煙草盆を引きよせて一服すっていると、その寝込みを襲って来たのは子分の善八であった。
「親分、知っていますかえ。いや、この体たらくじゃあ、まだ知んなさるめえ。ゆうべ本所で人殺しがありました」
「本所はどこだ。吉良の屋敷じゃあるめえ」
「わるく洒落ちゃあいけねえ。相生町の二丁目の魚屋だ」
「相生町の魚屋……。徳蔵か」
「よく知っていなさるね」と、善八は眼を丸くした。「夢でも見なすったかえ」
「むむ。きのう浅草のお祭りへ行って、よく拝んで来たので、三社様が夢枕に立ってお告げがあった。下手人はまだ判らねえか。嬶はどうしている」
「かかあは無事です。きのうの夕方、弟のとむれえを出して、家じゅうががっかりして寝込んでいるところへはいって来て、あつまっている香奠を引っさらって行こうとした奴を、徳蔵が眼をさまして取っ捉まえようとすると、そいつが店にある鰺切りで徳蔵の額と胸とを突いて逃てしまったんだそうです。嬶が泣き声をあげて近所の者を呼んだんですが、もう間にあわねえ。相手は逃げる、徳蔵は死ぬという始末で大騒ぎだから、ともかくも親分の耳に入れて置こうと思ってね」