Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
橋の上の女 ――銭形平次傑作選2
野村 胡堂
Lesen Sie 橋の上の女 ――銭形平次傑作選2 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 88.573 Zeichen · 178 Bildschirme
「恐ろしい事になりやがったな」
平次はまだ茶化し気分でした。女の子の逆立ちと天下の御政道とは関係がありそうもありません。
「こいつは深いわけがあります。まだ時刻は早いから、一度は聴いて下さいよ親分」
八五郎は尤もらしく語り進みます。曾ては日本橋に出初があった時、梯子乗の名人が、日本橋の上で命がけの大離れ業を演じ、江戸っ子の胆っ玉を冷やさせたという例もあり、十七娘が逆立ちして日本橋を渡るのも、何んかの因縁がなければなりません。
「――――」
平次は黙って、煙草に火をつけました。八五郎の物語を聴くには、こんな閑なポーズが反って良かったのです。
「日本橋通り一丁目の沢屋――親分も御存じでしょう」
「木原店の沢屋だ、知らないことがあるものか、たいそうな物持だというじゃないか」
「その物持の沢屋が三代にわたる不運つづきですっかりいけなくなったとしたら、どんなものでしょう?」
「江戸の金持も三代つづくとたいてい変なことになるよ、贅沢に馴れたり、遊楽を覚えたり、旦那とか通人とか言われる頃は、気の毒なことに没落が控えている。紀文も奈良茂も、跡は残っちゃいない」
「その上沢屋の旦那は、代々の病人だ、悪い奉公人があった日には、一とたまりもあったものじゃない、借金は雪達磨の如く殖えて、この春は越せそうもないところまで、追いつめられてしまい