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Japanische Klassiker mit Furigana

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ウニデスちょうりゅうのかなた

橘外男ワンダーランド 幻想・伝奇小説篇

橘 外男

Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 幻想・伝奇小説篇 (ウニデスちょうりゅうのかなた) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 247.361 Zeichen · 483 Bildschirme

Aozora Bunko

全丁抹憧れの人

栄華の高楼なお涙ありというのもこういうのを指すのであろう。フィリップ殿下の血と涙が一字一句ににじんで、その優しいお心が惻々として彼女の眼を霞ませてくる。

しかもその優しい殿下の、血を分けた兄弟でありながら、この殿下の苦しみを平然と見過ごして、その兄弟の血と涙の上で、盗品の勘定をしている男! なんという人非人! 犬畜生の人でなし! 人間の血も心も失い切った蛇のような男!

そしてその瞬間嬢には今日までどうしても飲み込めなかったあの不思議な謎が、今釈然として氷解してくるのを覚えた。それはドラーゲ邸で未亡人から頸飾りを奪い去った後、二階で少年の服をフィリップ殿下の軍装に取り換えて降りて来たところを小間使のロヴィーサに見られていることであった。何のためにわざわざ殿下の服装をしたのであろう? と、それは長い間の解けぬ不思議さであったが、今やっとそれにも終止符を打つ時がきた。これほど優しい心の殿下を持ちながら、この伯爵に至っては人間の屑、冷血爬虫類のごとき存在であった。一切の疑いを殿下に塗りつけんがため、わざわざ人目に付くようそうした手数まで演じたものであろう。