Japanische Klassiker mit Furigana
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えいじつしょうひん
永日小品
Lesen Sie 永日小品 (えいじつしょうひん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 50.000 Zeichen · 100 Bildschirme
繻珍の丸帯が一本ですね、――丸帯と云うのは何ですか、丸帯と書いておけば解るですか、そう、それでは繻珍の丸帯が一本と、それから……
下女がにやにや笑っている。この巡査は丸帯も腹合せもいっこう知らない。すこぶる単簡な面白い巡査である。やがて紛失の目録を十点ばかり書き上げてその下に価格を記入して、すると〆て百五十円になりますねと念を押して帰って行った。
自分はこの時始めて、何を窃られたかを明瞭に知った。失くなったものは十点、ことごとく帯である。昨夜這入ったのは帯泥棒であった。御正月を眼前に控えた妻は異な顔をしている。子供が三箇日にも着物を着換える事ができないのだそうだ。仕方がない。
昼過には刑事が来た。座敷へ上っていろいろ見ている。桶の中に蝋燭でも立てて仕事をしやしないかと云って、台所の小桶まで検べていた。まあ御茶でもおあがんなさいと云って、日当りの好い茶の間へ坐らせて話をした。
泥棒はたいてい下谷、浅草辺から電車でやって来て、明くる日の朝また電車で帰るのだそうだ。たいていは捉まらないものだそうだ。捉まえると刑事の方が損になるものだそうだ。泥棒を電車に乗せると電車賃が損になる。