Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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えいじつしょうひん

永日小品

夏目 漱石

Lesen Sie 永日小品 (えいじつしょうひん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 50.000 Zeichen · 100 Bildschirme

Aozora Bunko

霧

、第3水準1-87-64)は勢いを得て、静かな空を煽るように、凄じく上る。……

翌日午過散歩のついでに、火元を見届ようと思う好奇心から、例の坂を上って、昨夕の路次を抜けて、蒸汽喞筒の留まっていた組屋敷へ出て、二三間先の曲角をまがって、ぶらぶら歩いて見たが、冬籠りと見える家が軒を並べてひそりと静まっているばかりである。焼け跡はどこにも見当らない。火の揚がったのはこの辺だと思われる所は、奇麗な杉垣ばかり続いて、そのうちの一軒からは微かに琴の音が洩れた。

霧

昨宵は夜中枕の上で、ばちばち云う響を聞いた。これは近所にクラパム・ジャンクションと云う大停車場のある御蔭である。このジャンクションには一日のうちに、汽車が千いくつか集まってくる。それを細かに割りつけて見ると、一分に一と列車ぐらいずつ出入をする訳になる。その各列車が霧の深い時には、何かの仕掛で、停車場間際へ来ると、爆竹のような音を立てて相図をする。信号の灯光は青でも赤でも全く役に立たないほど暗くなるからである。

寝台を這い下りて、北窓の日蔽を捲き上げて外面を見おろすと、外面は一面に茫としている。下は芝生の底から、三方煉瓦の塀に囲われた一間余の高さに至るまで、何も見えない。