Japanische Klassiker mit Furigana
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えいじつしょうひん
永日小品
Lesen Sie 永日小品 (えいじつしょうひん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 50.000 Zeichen · 100 Bildschirme
暖かい夢
自分は表に猫の墓と書いて、裏にこの下に稲妻起る宵あらんと認めた。車夫はこのまま、埋めても好いんですかと聞いている。まさか火葬にもできないじゃないかと下女が冷かした。
小供も急に猫を可愛がり出した。墓標の左右に硝子の罎を二つ活けて、萩の花をたくさん挿した。茶碗に水を汲んで、墓の前に置いた。花も水も毎日取り替えられた。三日目の夕方に四つになる女の子が――自分はこの時書斎の窓から見ていた。――たった一人墓の前へ来て、しばらく白木の棒を見ていたが、やがて手に持った、おもちゃの杓子をおろして、猫に供えた茶碗の水をしゃくって飲んだ。それも一度ではない。萩の花の落ちこぼれた水の瀝りは、静かな夕暮の中に、幾度か愛子の小さい咽喉を潤おした。
猫の命日には、妻がきっと一切れの鮭と、鰹節をかけた一杯の飯を墓の前に供える。今でも忘れた事がない。ただこの頃では、庭まで持って出ずに、たいていは茶の間の箪笥の上へ載せておくようである。
暖かい夢
風が高い建物に当って、思うごとく真直に抜けられないので、急に稲妻に折れて、頭の上から、斜に舗石まで吹きおろして来る。自分は歩きながら被っていた山高帽を右の手で抑えた。