Japanische Klassiker mit Furigana
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えいじつしょうひん
永日小品
Lesen Sie 永日小品 (えいじつしょうひん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 50.000 Zeichen · 100 Bildschirme
御作さんの顔を見るや否や、あいよと云いながら、気軽に立ち上がった。
御作さんは、すぐ台所の方へ取って返して、楊枝と歯磨と石鹸と手拭を一と纏めにして、さあ、早く行っていらっしゃい、と旦那に渡した。帰りにちょっと髯を剃って来るよと、銘仙のどてらの下へ浴衣を重ねた旦那は、沓脱へ下りた。じゃ、ちょいと御待ちなさいと、御作さんはまた奥へ駆け込んだ。その間に旦那は楊枝を使い出した。御作さんは用箪笥の抽出から小さい熨斗袋を出して、中へ銀貨を入れて、持って出た。旦那は口が利けないものだから、黙って、袋を受取って格子を跨いだ。御作さんは旦那の肩の後へ、手拭の余りがぶら下がっているのを、少しの間眺めていたが、やがて、また奥へ引込んで、ちょっと鏡台の前へ坐って、再び我が姿を映して見た。それから箪笥の抽出を半分開けて、少し首を傾けた。やがて、中から何か二三点取り出して、それを畳の上へ置いて考えた。が、せっかく取り出したものを、一つだけ残して、あとは丁寧にしまってしまった。それからまた二番目の抽出を開けた。そうしてまた考えた。御作さんは、考えたり、出したり、またはしまったりするので約三十分ほど費やした。