Japanische Klassiker mit Furigana
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えいじつしょうひん
永日小品
Lesen Sie 永日小品 (えいじつしょうひん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 50.000 Zeichen · 100 Bildschirme
ただ空しいものがいっぱい詰っている。そうして、それが寂として凍っている。隣の庭もその通りである。この庭には奇麗なローンがあって、春先の暖かい時分になると、白い髯を生した御爺さんが日向ぼっこをしに出て来る。その時この御爺さんは、いつでも右の手に鸚鵡を留まらしている。そうして自分の目を鸚鵡の嘴で突つかれそうに近く、鳥の傍へ持って行く。鸚鵡は羽搏きをして、しきりに鳴き立てる。御爺さんの出ないときは、娘が長い裾を引いて、絶え間なく芝刈器械をローンの上に転がしている。この記憶に富んだ庭も、今は全く霧に埋って、荒果てた自分の下宿のそれと、何の境もなくのべつに続いている。
裏通りを隔てて向う側に高いゴシック式の教会の塔がある。その塔の灰色に空を刺す天辺でいつでも鐘が鳴る。日曜はことにはなはだしい。今日は鋭く尖った頂きは無論の事、切石を不揃に畳み上げた胴中さえ所在がまるで分らない。それかと思うところが、心持黒いようでもあるが、鐘の音はまるで響かない。鐘の形の見えない濃い影の奥に深く鎖された。
表へ出ると二間ばかり先は見える。その二間を行き尽くすとまた二間ばかり先が見えて来る。