Japanische Klassiker mit Furigana
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えいじつしょうひん
永日小品
Lesen Sie 永日小品 (えいじつしょうひん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 50.000 Zeichen · 100 Bildschirme
行列
私は裁判官の前で泣きましたね。芋はただ取られる、裁判には負ける、こんな馬鹿な事はない、少しは、まあ私の身になって考えて見て下さいって。裁判官も腹のなかでは、だいぶ私の方に同情した様子でしたが、法律の力じゃ、どうする事もできないもんですからな。とうとう負けました」
行列
ふと机から眼を上げて、入口の方を見ると、書斎の戸がいつの間にか、半分明いて、広い廊下が二尺ばかり見える。廊下の尽きる所は唐めいた手摺に遮られて、上には硝子戸が立て切ってある。青い空から、まともに落ちて来る日が、軒端を斜に、硝子を通して、縁側の手前だけを明るく色づけて、書斎の戸口までぱっと暖かに射した。しばらく日の照る所を見つめていると、眼の底に陽炎が湧いたように、春の思いが饒かになる。
その時この二尺あまりの隙間に、空を踏んで、手摺の高さほどのものがあらわれた。赤に白く唐草を浮き織りにした絹紐を輪に結んで、額から髪の上へすぽりと嵌めた間に、海棠と思われる花を青い葉ごと、ぐるりと挿した。黒髪の地に薄紅の莟が大きな雫のごとくはっきり見えた。割合に詰った顎の真下から、一襞になって、ただ一枚の紫が縁までふわふわと動いている。