Japanische Klassiker mit Furigana
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えいじつしょうひん
永日小品
Lesen Sie 永日小品 (えいじつしょうひん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 50.000 Zeichen · 100 Bildschirme
戸を敲くのが気の毒なくらい大きな眼をしていらっしゃいと云う。
這入ると女はすぐ消えてしまう。そうして取附の客間――始めは客間とも思わなかった。別段装飾も何もない。窓が二つあって、書物がたくさん並んでいるだけである。クレイグ先生はたいていそこに陣取っている。自分の這入って来るのを見ると、やあと云って手を出す。握手をしろという相図だから、手を握る事は握るが、向ではかつて握り返した事がない。こっちもあまり握り心地が好い訳でもないから、いっそ廃したらよかろうと思うのに、やっぱりやあと云って毛だらけな皺だらけな、そうして例によって消極的な手を出す。習慣は不思議なものである。
この手の所有者は自分の質問を受けてくれる先生である。始めて逢った時報酬はと聞いたら、そうさな、とちょっと窓の外を見て、一回七志じゃどうだろう。多過ぎればもっと負けても好いと云われた。それで自分は一回七志の割で月末に全額を払う事にしていたが、時によると不意に先生から催促を受ける事があった。君、少し金が入るから払って行ってくれんかなどと云われる。自分は洋袴の隠しから金貨を出して、むき出しにへえと云って渡すと、先生はやあすまんと受取りながら、例の消極的な手を拡げて、ちょっと掌の上で眺めたまま、やがてこれを洋袴の隠しへ収められる。