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Japanische Klassiker mit Furigana

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いなかきょうし

田舎教師 他一編

田山 花袋

Lesen Sie 田舎教師 他一編 (いなかきょうし) von 田山 花袋 (たやまかたい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 156.097 Zeichen · 312 Bildschirme

Aozora Bunko

路の縁の乾いた土には雨がまだわずかにしみ込んだばかりであった。

井泉村の役場に助役を訪ねてみたが、まだ出勤していなかった。路に沿った長い汚ない溝には、藻や藺や葦の新芽や沢瀉がごたごたと生えて、淡竹の雨をおびた藪がその上におおいかぶさった。雨滴れがばらばら落ちた。

路のほとりに軒の傾むいた小さな百姓家があって、壁には鋤や犁や古い蓑などがかけてある。髪の乱れた肥った嚊が柱によりかかって、今年生まれた赤児に乳を飲ませていると、亭主らしい鬚面の四十男は、雨に仕事のできぬのを退屈そうに、手を伸ばして大きなあくびをしていた。

鎮守の八幡宮の茅葺の古い社殿は街道から見えるところにあった。華表のかたわらには社殿修繕の寄付金の姓名と額とが古く新しく並べて書いてある。周囲の欅の大木にはもう新芽がきざし始めた。賽銭箱の前には、額髪を手拭いで巻いた子傅が二人、子守歌を調子よくうたっていた。

昨日の売れ残りのふかし甘薯がまずそうに並べてある店もあった。雨は細く糸のようにその低き軒をかすめた。

畑にはようやく芽を出しかけた桑、眼もさめるように黄いろい菜の花、げんげや菫や草の生えている畔、遠くに杉や樫の森にかこまれた豪農の白壁も見える。