Japanische Klassiker mit Furigana
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たでくうむし
蓼喰う虫
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 蓼喰う虫 (たでくうむし) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 110.066 Zeichen · 216 Bildschirme
―――あたしだってもうそうなったら余計なお小遣いをねだったり、着物を拵えたりしやしないんだから。こんな商売をしているからだけど、あたしを贅沢な女だと思ったら大した間違いなんだからね。憚りながら家を持たしたらあたしぐらい几帳面で、無駄づかいをしない女はないんだからね」
「だけども、借金は立て換えた、そのままぷいと西比利亜へでも逃げて行かれたらそれっきりだぜ」
そう云うと女は心外な表情をして見せて、口惜し紛れに寝台の上で地団太を蹈む。要はそれが面白さに交ぜっ返しているようなものの、一時は多少の好奇心を動かしたこともないではなかった。どうせこの女のことだから囲ったところで長つづきはしないであろうし、冗談ではなくハルピンあたりへどろんをするのが落ちであろうが、此方も寧ろその方が背負い込みにならないでいいかも知れない。彼にはそんなことよりも、実は妾宅を構える手続きが事務的にひどく億劫な気がした。女は普通の日本建ての借家でいい、家具さえ洋風にしてくれたらと云うのだけれども、建てつけのガタピシする狭くるしい部屋に這入って、歩くたびごとにもくもくふくれ上る畳を蹈みながら、散切り頭に浴衣がけでいられたりしたら、―――そしてうわべだけにもせよ、今までの贅沢が打って変って、急に几帳面に、妙なところで所帯持ちをよくされたりしたら、