Japanische Klassiker mit Furigana
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ずいひつ しんへいけ
随筆 新平家
吉川 英治
Lesen Sie 随筆 新平家 (ずいひつ しんへいけ) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 213.575 Zeichen · 424 Bildschirme
前々回の「大江山待ち」の項で、範頼、義経たちの源氏方は、すでに生田と鵯越えの直前まで迫っている。――で定石だと、次回はすぐ鵯越え、一の谷の合戦描写になるわけである。
おそらく前回では戸惑いされたかもしれない読者も、この回では、ははアともう作者の意図は読み抜かれたことかと思う。ぼくは従来の定石を破って、逆に、屋島の平家側から、一ノ谷、鵯越えを書いてみたいと思っている。つまりこれまでのものとは、まったく視角を変え、そして、どうして平家方が、あんなおろかともみえる大敗を余儀なくしたかを、敗者の中から書いてみたい。
構想もテーマの運びも、先にいってしまうことになるが、敦盛を特に拾い上げて書いたのも、前述の理由によるのである。
従来の古典や戯曲だと、須磨ノ浦で熊谷直実と組んで討たれたあの一章にしか敦盛の名は出て来ない。けれど、彼の肉親たちには、「新・平家」にもすでに書いた重要な人々がいるし、また、熊谷に呼び戻されて引っ返したというはなしも、あれだけでは、現代人の共感をよぶわけにはゆかないであろう。――でもとより多分にぼくの創意は加えたものだが、敦盛の係累、周囲の事情、屋島平家の背景などと併せて、つとめて史実的にはその人を書いてみるつもりである。