Japanische Klassiker mit Furigana
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ずいひつ しんへいけ
随筆 新平家
吉川 英治
Lesen Sie 随筆 新平家 (ずいひつ しんへいけ) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 213.575 Zeichen · 424 Bildschirme
現に、杉本氏の一娘なども、たまたま、父健吉画伯がデッサンしかけた清盛の顔をそばから見て、「清盛って、そんな優しそうな人じゃないわ」と抗議され、せっかく揮いかけた杉本氏の新人的気魄をすらあえなく萎えさせてしまったという事実さえあるほどですから。
古来、清盛の肖像には摂津築島寺の清盛甲冑姿の像、山城六波羅蜜寺の法体像、京都曼殊院の束帯像など幾種となくありますが、いずれも端正な美丈夫で、積悪の酬いのため、赤鬼青鬼の迎えをうけ、炎の車で地獄へ持って行かれたとする入道相国の既成概念とは、およそ別人であることが分かります。
その清盛の幻影を追って、先ごろ、杉本氏やほか数氏と、平家史蹟巡りの旅行の途中、厳島神社で例の平家納経を見、また清盛、頼盛両筆の無量寿経に、彼の筆のあとを、眼に見ました。優雅です。頼盛よりもむしろ気心は優しいほどな、静かで肉ぼそな覇気のない文字です。私は遠くから、清盛という人に会った気がして、その夕べ、社殿のうしろの清盛塚にのぼり、つくづく考えこみました。やはり歴史は「勝者が敗者を書いた制裁の記録である」と。そしてそれを書き正すのが文芸の一つの仕事であろうなどと今更らしく思うのでした。