Japanische Klassiker mit Furigana
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ずいひつ しんへいけ
随筆 新平家
吉川 英治
Lesen Sie 随筆 新平家 (ずいひつ しんへいけ) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 213.575 Zeichen · 424 Bildschirme
四半坪のせまい地下には、父、母、弟妹、いくたりかが安らいでいる。「新・平家物語」に没頭してから、初めての訪れである。そのさい、ほかの御用もあったので、出版局の春海局次長や顧問の嘉治隆一氏なども偶御一しょであった。偶然とはいえ公私にわたるこの御縁に大きなよろこびと恐縮を私は抱いた。――“忌も怠りて働けど――”とそこでも私はお念仏の代りにつぶやいたことであった。
夜は、同窓数名と、山内老先生の御夫妻など共に、街の一亭に行って、この世の果報に甘えた。席は、神奈川新聞社の好意で設けられたもので、横浜のアメリカン・カラーとはおよそ対蹠的な関内の美妓が座をあっせんしてくれた。老先生は、六十余年横浜の教育界にあって育英につくされて来たが、関内芸妓をあげて遊ぶのは初めてだと仰っしゃった。昼の記念会でも、同窓生を見るたびに、深い頬の皺に、涙の垂れるのをつかえさせて、眼ばかりうるましておられたが、この夜も、余りには飲まれぬ盃を少しずつなめながら、おりおり、多感な老涙をしばだたいておられた。そのうちに、たれかがいい出した。「ひとつ、むかし校庭で歌ったのを歌おうではないか」