Japanische Klassiker mit Furigana
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ずいひつ しんへいけ
随筆 新平家
吉川 英治
Lesen Sie 随筆 新平家 (ずいひつ しんへいけ) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 213.575 Zeichen · 424 Bildschirme
ぼくの足だって落ちのびて行ける。東は、牟礼、志度路、すこし行けば、山岳地へ入り込めよう。西は、坂田、鷺出方面へ。もしまた南へ深く、阿讃山脈へでも入ろうものなら、当座の源軍勢力では、そのあとかたも捕捉し得まい。
同様なことは、長門壇ノ浦附近の地形についてもいえるのである。もし平氏の面々が、好んで水死を求めたのなら知らないこと、生きようとしたら、あのさいの多数は、どういう落ち方をしても、生きられる山野をうしろに持っていた、ということだけは、確実にいいきれる。
そこでぼくの新たな興味を唆ってくるのは、日本全土にわたる、いわゆる“平家村”や“平家部落”というものである。そのすべてが、山間僻地に分布されていることは例外がない。
南は、九州の山岳地帯、北は東北、北陸にまで、ままその末裔一族という小社会があるのを聞く。ぼくはまだその正確な統計も、概括的な史料すらもっていないが、もしつぶさに調べたら、驚くほどな数にのぼるのではないかと思う。たとえば、安徳天皇の行宮の阯といったような土地でも、全国に三十数ヵ所もある。いちいち、それを史実と見ているわけではない。すべてを伝説視する前に、もっと従来のような粗雑な史観と、総勘定的な整理の仕方を、わきへ措いてはどうか。