Japanische Klassiker mit Furigana
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ずいひつ しんへいけ
随筆 新平家
吉川 英治
Lesen Sie 随筆 新平家 (ずいひつ しんへいけ) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 213.575 Zeichen · 424 Bildschirme
天慶年間(将門ノ乱の年)この辺で猛威をふるった藤原純友の根拠地は、伊予沖の日振島であったという。――「南海ノ賊首、藤原純友、船千余艘ヲモツテ、朝貢ノ官船ヲ剽掠シ、海路一切通ゼズ」などという古記がみえる。どんな船か知らないが、千余艘をもって、官物を船ぐるみ呑んでしまうなどというやり口は、ケチな泥棒ではなかったとみえる。
そういう伝統的な魔海も、清盛の海上政策が具現してからは、なんと文化的な楽園の海に変ったことだろう。厳島の構想は、いまでも世界的なものだが、じつは百鬼跳梁の海に建てられたものだと考えると、なおさらその“美”の性質に、一種のかがやきが加えられて来よう。――が結局、平家一門は、自分たちが開花し楽園とした瀬戸内を舞台として、華麗な扮装をつけ、限りない人間哀詩を奏でながら、末路の大悲劇を、演じ去った――。
桟橋が近づく。別府だ。
甲板は旅客で埋まる。「来ている、来ている」と嘉治さんの送る微笑。桟橋の上も人で埋まっている。
午後一時。土を踏む。
西部出版支部長のHさん、編集課長のIさん、別府、大分支局長など、たいへん大勢のお出迎え。同勢ゾロゾロ白雲荘の別館へとゆく。